コミカライズから始めるニンジャスレイヤー
前回、「今から始めるニンジャスレイヤー」と題した記事を書いた。参考になった人が居たら幸いである。
で、今回はコミカライズ、つまり漫画版から読んでみようというコンセプトである。
実際、「気になるけど活字アレルギーだから…」とか「小説は読むのが面倒だ」という意見を見る事もあった。
大丈夫。今度アニメにもなるし漫画版もある。しかも、3つもある。
3つあるコミカライズ版「ニンジャスレイヤー」それぞれの特徴
まずは一番スタンダードと言えるニンジャスレイヤー
「ニンジャスレイヤー」漫画:余湖裕輝 脚本:田畑由秋
「コミックマスターJ」「アクメツ」で知られる余湖・田畑コンビが送るニンジャスレイヤー。
圧倒的画力と緻密な背景、基本的に書籍版に準じたキャラクターデザイン、原作に沿った展開を守りつつもヘンな擬音をブッ込んで来たりする。そして何故かニンジャスレイヤーが突飛な登場をするエピソードばかり描かれる。そんなニンジャスレイヤー。
通称「コンプ版」とか「無印」と呼ばれる事が多い。
— njslyr_ukiyoe (@njslyr_ukiyoe) 2013, 8月 7
書籍版に忠実なデザイン。合いの手が効果音的に使われる
現在連載中のエピソード「ラスト・ガール・スタンディング」では女子高生ニンジャ「ヤモト・コキ」の圧倒的「カワイイ」が話題を呼びあまりニンジャスレイヤーを知らない人からの「ヤモトって娘がマジで可愛いんだけど」みたいなツイートを数々生み出した。
— njslyr_ukiyoe (@njslyr_ukiyoe) 2014, 2月 7
間違いなく可愛い。上は親友のアサリ
現在単行本2巻まで発売中だ。
ニンジャスレイヤー (2)~ラスト・ガール・スタンディング (イチ)~ (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 余湖裕輝,田畑由秋,ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ,本兌有・杉ライカ,わらいなく
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/05/09
- メディア: コミック
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原作でも超人気エピソードである「ラスト・ガール・スタンディング」も恐らく間もなく完結、次回のエピソードは原作の全エピソード(一部例外有り)から投票で決めるという前代未聞の展開を見せている。つまり現在まで第1部のエピソードを連載していたのに次だけいきなり第3部のエピソードを掲載する事も有り得るのだ。どうやって漫画のみの読者に説明するんだろう…
で、このコミカライズであるが無料で読める。最新話だけ無料とか前半だけ無料とかそういう事ではなく、今まで連載された全ての話が無料で読める。
最初は雑誌発売日前くらいに前半部だけ無料で公開する予定だったらしいのだが、編集者O野K太郎氏の「それはニンジャスレイヤーの精神に反する」という鶴の一声で無料公開となった。
Twitterでの公開は@njslyr_ukiyoeにて行われており、コンプティーク発売日前の毎月10日前くらいにその月に掲載される作品の前半、発売日くらいに後半が公開される。
過去の分はTogetterにもまとめられている。
が、もちろん無料公開だけでは商売にならないので、もし面白かったら雑誌なり単行本を買うなりして欲しい。この先も読めるように。いや、本当にお願いしますね…
そして2つ目(公開順だと3つ目なのだが)のコミカライズが
ニンジャスレイヤー殺(キルズ) 作:関根光太郎
である。新人漫画家の関根光太郎がその新人離れした画力とメカ描写の上手さを買われて(と、私は思っている)この作品でデビューとなる。
この殺(キルズ)は特撮的アレンジが加えられ、デザインも独自性が高くアクションもド派手、オリジナリティの高いメカやギミック、そして何故かコミックボンボンの漫画っぽさを感じる、そんなニンジャスレイヤー。
ニコニコ静画のWEB漫画サイト「水曜日のシリウス」内にて隔週連載中(6月は休止しており次回は7月より再開)。
特撮的なアレンジを加えているというだけあって、決めポーズはバシバシ決まるし必殺技を繰り出せば派手に爆発する。
また、ストーリーその物のアレンジも大胆に加えられている。
〈KILLs 002-02〉P016 NINJA SLAYER 殺『水曜日のシリウス』にて連載中!! http://t.co/TQkSvDkOUw #njslyr pic.twitter.com/hVwFADHmE9
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 2月 12
度々描写される満月が印象的
P011-P012 #njslyr pic.twitter.com/DKJPe1o0uQ
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 2月 26
バシッと決まるキメポーズ、そして背景で爆発。特撮である。
このコミカライズもまた無料で全て公開されており、ニコニコのアカウントが無くとも公開日の夜には月刊少年シリウス公式Twitterアカウントにて、水曜日のシリウスでの更新日の夜20時辺りから実況の為の公開が行われている。
この殺(キルズ)は原作の時系列で一番最初のエピソードにあたる「ボーン・イン・レッドブラック」(書籍版第1巻限定エピソード)から始まるので、まずはこのコミカライズから読むとニンジャスレイヤー誕生の経緯や復讐に至る背景が理解出来るだろう。
現在の所まだ単行本は発売されていないが、休載中の6月に単行本作業をしていると予想されており、近々発表されるかもしれない。
そして3つめのコミカライズ(発表順だと本当は2番目)が
ニンジャスレイヤーグラマラスキラーズ 作:さおとめあげは
である。所謂「BL作家」であるさおとめあげはの描く新感覚のニンジャ活劇。翻訳チーム曰く「法外なコミカライズ」であるこのグラマラスキラーズ(通称グラキラ)。文章量が多くなってしまったので紹介を最後に回した。(オチにしている訳じゃないですよ)
このグラマラスキラーズは大胆過ぎるキャラデザインのアレンジ、原作では決して描かれない敵ニンジャ同士のユウジョウやそれ以上の何か、そして猥褻は一切無いが、グッドルッキングなニンジャとニンジャの顔が近い!(単行本オビより)そんなニンジャスレイヤー。
「ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ」(漫画) 序章・:ゼロ・トレラント・サンスイ ★P.10★ #njslyr pic.twitter.com/FvWr8wGyA5
— B's-LOG COMICS (@comibi) 2013, 9月 2
猥褻は一切無い。無いったら無い
さて、このコミカライズだがアクションは描き慣れていない作者の為かアクションシーンでは流石に前者2組には敵わないものの、ここぞという時の止め絵は非常に美しい。
コミカライズ第2段がこういう作風という事で、発表時にはファン全体が動揺と困惑に包まれたのは言うまでも無い。
だが公開が進むに連れ、当初の困惑はどこへやら、今や殆どのファンに受け入れられ、実況も大盛り上りである。
それは何故か?
その理由は、あえて敵のニンジャを主軸に原作ではただ無慈悲に殺されるだけだった場面に独特のシーンを追加して心理描写を深めているとか、あまりにも大胆、というか常人では思いつかないようなキャラデザインといった所にあるかもしれない。
「ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ」(漫画) 第3話:メナス・オブ・ダークニンジャ3★P.06★ #njslyr pic.twitter.com/rPvUQzvlex
— B's-LOG COMICS (@comibi) 2013, 11月 6
この衝撃のデザインは #ミュルミドン というハッシュタグを生み出した(この気の触れたバイクに乗った?なった?ニンジャがミュルミドン)
このグラマラスキラーズは女性向けコミック誌「B's-LOG COMICS」にて連載中であり、毎月の発売日辺りにはビズログのマスコットキャラ(の割には本誌のどこにも姿が無いらしい)であるトキメキさんがTwitterにて本編を公開している。これまた無料だ。
最後に紹介したこの耽美なコミカライズ、人によっては「こういうのはちょっと…」とか「こっち系統はいらない」という人も居るだろう。それを責めるつもりは全く無い。むしろそういう人が居て当たり前だ。
だがしかし、もしそういう人の中で、書籍版や本編にドハマりし、読み込んだという人が居たならどうかグラマラスキラーズの存在を思い出し、一度読んでみて欲しい。
そこには貴方が当初感じた違和感等を超えて伝わる面白さや腑に落ちる感覚を覚える事だろう。
ちなみに、最初に紹介したコミカライズが1部から3部に飛ぶ可能性について「どう説明するんだろう」と疑問を呈したが、このコミカライズでは1部をちょちょっとやった後何の前触れも無く3部の話を始めた。ロックである。だが、本編を読み込んだ後に読むと、全くもって納得の行く進み方なのだ。
何故なら、1部で描いたエピソードで登場したニンジャの3部での活躍を描いているからだ。つまり主人公であるニンジャスレイヤーを差し置いて、ヒュージシュリケンというキャラの一代記として描いているのである。
無料で読めるんだしとりあえず読んでみよう
ここまで現在展開されている3種類のコミカライズを紹介してきた。
どれも無料で過去の分も含めて全て無料で読める事だし、一度読んでみて欲しい。予備知識無しで読むのなら、時系列での最初のエピソードから始まる「殺(キルズ)」からが入りやすいだろうか?無印版は入門向けと言われている「マシン・オブ・ヴェンジェンス」から始まっているものの、原作と同じく時系列がシャッフルされているので多少面食らうかもしれない。グラキラは元々こういう系統が好きな人ならむしろこのコミカライズを切っ掛けにニンジャスレイヤーの世界に飛び込めるだろう。実際そういう女性ファンも見られる。
そして、もし、面白い!継続して読みたい!という気持ちになったら、単行本や掲載誌を買って応援して頂きたい。
次回はコミカライズについての蛇足というか、おまけみたいな短い記事を書こうと思っていますのでよろしければそちらもよろしくお願いします。
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